絵本の修復を承りました。今は亡きフランス生まれのお母様が小さい頃に買ってもらい、ずっと持っていたお気に入りの絵本だそうです。作者は「くまのプーさん」を描いたA・A・ミルン、日本では「クリストファーロビンのうた」で翻訳されています。
補強しているセロハンテープがパサパサとれてしまう状態でしたが、ページをめくれる状態に修復してほしいとのこと。修復のプロに依頼するまでは考えてなく、出来る範囲で構わないとのことでしたので、チャレンジさせていただきました。
【分解】表紙、裏表紙、背表紙、本文をバラバラにします。表紙と中身を繋げる見返しはスキャンして新調しました。
【表紙】一枚の紙に、表紙・背表紙・裏表紙を貼って繋げます。
【本文】糸が解れてバラバラになった背表紙部分を製本用ボンドで固定。寒冷紗で補強します。頁についているセロテープをとり刷毛で掃除。折れた部分はアイロンで軽くのばしました。
【合体】新たに出力した見返しの紙で表紙と本文を繋げます。
【完成】逆さにしてバサバサふっても大丈夫なくらい頑丈に仕上がりました!損傷の大きかった背表紙部分がまた剥がれないよう糊を使って固めました。微かに残っていた箔押し部分が潰れてしまったのが残念…。
【スリーブ】なるべく痛まないよう保管用のスリーブを作りました。
一世紀近く前から何度もめくられてきた絵本。この後、どのくらい先まで受け継がれるのでしょうか。今回の修復のお仕事一万円で承りました。貴重なお仕事をいただき、ありがとうございました!