『生まれたときの気持ちをずっと』
三重県四日市市 N M 様



入院中に看護師さんから「退院時にプレゼントを渡します」と紹介されたのが今回の「赤ちゃんのうまれたとき」お仕立て券でした。どんなものかわからなかったので、授乳室にあった見本を借り て部屋に持ち帰ってじっくり見ました。

私は子どもの頃、赤ちゃんの時のアルバムを見るのが大好きでした。母はたくさんの写真をアルバムにしており、母のコメントが所々に書いてあるのを読むのが大好きでした。自分の子どもにも同じことをしてあげたいな…と思っていたところにうってつけのプレゼントでした。

私は産後1カ月以内の写真で作ろうと思いました。この頃はまだ表情がないから可愛い笑顔の写真はいれられないけど、何もわからないぼうとした顔や新生児落屑でボロボロしている肌、それから長い間子宝に恵まれなかった夫と私の、親になれて嬉しくてたまらない表情を残しておきたいと思いました。

そして完成した絵本は大切に保管して、娘が結婚する時に渡そうと考えていました。退院する日にもらえるのが楽しみで、わくわくしながら待っていました。

いざ家に帰ると、想像をはるかに超えた大変な毎日が待っていました。まだ感情もはっきりせずに泣いてばかりいる子をどうしたらいいのか不安でいっぱいでした。不本意ながら投げ出したい気持ちになることもありました。

しばらく暇がなかったのですが、ようやく娘が寝た後にふと思い出して絵本の準備を始めました。撮り溜めた写真を選別し、文章を考えているうちに娘が生まれたばかりのことや、それ以前の長い不妊治療の日々を思い出して感傷的になり、涙をためながら作業をしている私をみて夫は苦笑い。

けれども次第に夫も夢中になりはじめ、特に「それは、お父さんとお母さんが出会った時から決められていたことだったのかもしれません」のページが気にいったようで、「これだけ年月がかかったのもすべて決まっていたのかも。待ったかいがあったよなあ」としみじみしていました。

原稿を送る時はコピーを手元に残し、しょっちゅう眺めて過ごしました。娘がぎゃあぎゃあ泣いていても、原稿を読むことで赤ちゃんが欲しくてたまらなかった気持ちや、生まれてきたときの幸せな気持ちを常に持ち続けることができるようになりました。

待ちに待った絵本がようやく届いた日は、夫が帰ってくるまで開封せず我慢し、帰宅後ふたりで楽しみました。今もすぐに手の届くところに絵本を置いてしょっちゅう眺めています。

最初は大切に保管して綺麗なまま娘にプレゼントしようと考えていましたが、このまま将来娘に渡す頃にはさんざん読まれて擦り切れて、ところどころ涙の跡がついているかもしれませません。娘がプレゼントするはずの絵本がなぜこんなにもぼろぼろなのか尋ねてきたら、話してあげようと思います。

『生まれたときの気持ちをずっと』
三重県四日市市 N M 様



入院中に看護師さんから「退院時にプレゼントを渡します」と紹介されたのが今回の「赤ちゃんのうまれたとき」お仕立て券でした。どんなものかわからなかったので、授乳室にあった見本を借り て部屋に持ち帰ってじっくり見ました。

私は子どもの頃、赤ちゃんの時のアルバムを見るのが大好きでした。母はたくさんの写真をアルバムにしており、母のコメントが所々に書いてあるのを読むのが大好きでした。自分の子どもにも同じことをしてあげたいな…と思っていたところにうってつけのプレゼントでした。

私は産後1カ月以内の写真で作ろうと思いました。この頃はまだ表情がないから可愛い笑顔の写真はいれられないけど、何もわからないぼうとした顔や新生児落屑でボロボロしている肌、それから長い間子宝に恵まれなかった夫と私の、親になれて嬉しくてたまらない表情を残しておきたいと思いました。

そして完成した絵本は大切に保管して、娘が結婚する時に渡そうと考えていました。退院する日にもらえるのが楽しみで、わくわくしながら待っていました。

いざ家に帰ると、想像をはるかに超えた大変な毎日が待っていました。まだ感情もはっきりせずに泣いてばかりいる子をどうしたらいいのか不安でいっぱいでした。不本意ながら投げ出したい気持ちになることもありました。

しばらく暇がなかったのですが、ようやく娘が寝た後にふと思い出して絵本の準備を始めました。撮り溜めた写真を選別し、文章を考えているうちに娘が生まれたばかりのことや、それ以前の長い不妊治療の日々を思い出して感傷的になり、涙をためながら作業をしている私をみて夫は苦笑い。

けれども次第に夫も夢中になりはじめ、特に「それは、お父さんとお母さんが出会った時から決められていたことだったのかもしれません」のページが気にいったようで、「これだけ年月がかかったのもすべて決まっていたのかも。待ったかいがあったよなあ」としみじみしていました。

原稿を送る時はコピーを手元に残し、しょっちゅう眺めて過ごしました。娘がぎゃあぎゃあ泣いていても、原稿を読むことで赤ちゃんが欲しくてたまらなかった気持ちや、生まれてきたときの幸せな気持ちを常に持ち続けることができるようになりました。

待ちに待った絵本がようやく届いた日は、夫が帰ってくるまで開封せず我慢し、帰宅後ふたりで楽しみました。今もすぐに手の届くところに絵本を置いてしょっちゅう眺めています。

最初は大切に保管して綺麗なまま娘にプレゼントしようと考えていましたが、このまま将来娘に渡す頃にはさんざん読まれて擦り切れて、ところどころ涙の跡がついているかもしれませません。娘がプレゼントするはずの絵本がなぜこんなにもぼろぼろなのか尋ねてきたら、話してあげようと思います。